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2月号 目次

「学ぶ力」の劣化
 「学び」という営みは、それを学ぶことの意味や実用性についてまだ知らない状態で、それにもかかわらず、これを学ぶことがいずれ生き延びる上で死活的に重要な役割を果たす事があるだろうと先駆的に確信することから始まります。その「まだ知らない」ということがそれを学ばなければならない当の理由なのです。そういうふうな順逆の狂った仕方で「学び」は構造化されています。
 「学ぶ力」あるいは「学ぶ意欲」というのは、「これを勉強すると、こういう『いいこと』がある」という報酬の約束によってかたちづくられるものではありません。その点で、私たちの国の教育行政官や教育論者のほとんどは深刻な勘違いを犯しています。子どもたちに、「学ぶと得られるいいこと」を、学びに先立って一覧的に開示することで学びへの意欲が高まるだろうと彼らの多くは考えていますが、人間というのはそんな単純なものではありません。
 もし、「いいこと」の一覧表を示されなければ学ぶ気が起こらないという子どもがいたら、その子どもにおいてはこの「先駆的に知る力」は衰微しているということになります。私たちの時代に至っては、日本人の「学ぶ力」が劣化し続けているのは、「先駆的に知る力」を開発することの重要性を私たちが久しく閑却したからです。
 狭隘で資源に乏しいこの極東の島国が大国強国に伍して生き延びるためには、「学ぶ」力を最大化する以外になかった。「学ぶ」力こそは日本の最大の国力でした。ですから、「学ぶ」力を失った日本人には未来がないと私は思います。現代日本の国民的危機は「学ぶ」力の喪失、つまり辺境の伝統の喪失なのだと私は考えています。
(内田樹:『日本辺境論』新潮新書)
<目次>
中学年のまとめに               (新田いずみ)
島での基礎学力づくり             (松本隆弘)
習字の指導 私の工夫             (山川高弘)
冬の京都集会報告               
第5回 先生のための学校          (濱崎仁詩)
子どもの喜ぶ一斉授業             (久保 齋)
局長だより                     (金井・図書・岸本)
学力研カレンダー&編集後記         (図書・川岸)